Perfumeやきゃりーぱみゅぱみゅなどをプロデュースするトラックメーカー中田ヤスタカと、2018の紅白歌合戦出場が決まったDAOKOとのコラボレーション。数多くのアーティストと楽曲制作をしてきたDAOKOだが、今回、中田ヤスタカとのコラボに至ったのは必然とも考えるのだが、音源を聞いてみて、落胆した感は否めない。
あくまで個人的な主観としてDAOKOの魅力はけだるさの中にも芯のあるウィスパーラップだと思っていて、初期のカバー曲「水星」や、「BOY」などの頃こそがオリジナリティ(それでも相対性理論に似てると言われたが)が出ていたと思う。それに対し中田ヤスタカの音楽はポップなエレクトロにボイチェン効かせた素人耳には誰が歌っても違いがわからない感があり、もともと可愛らしい声のDAOKOが素で歌っていたとしても、ボイチェン効かせたヤスタカ系のボーカルに近く、汎用的な音楽に打ち消されてしまっている気がする。
中学3年生のときにニコニコ動画(以下ニコ動)の「ニコラップ」にラップを投稿し始め、ニコ動内で出会ったJinmenusagi(人面兎)の呼びかけで客演参加した楽曲での振る舞いがネット発のインディーレーベル「LOW HIGH WHO? PRODUCTION」の主宰者に気に入られ、高校入学と同時に同レーベルと契約。進学した高等学校の校則(芸能活動禁止)が厳しく、顔を隠した状態での活動となる。後にm-floの☆Taku Takahashiに見出されm-flo + daoko名義による楽曲「IRONY」が2013年公開の映画『鷹の爪 ~美しきエリエール消臭プラス~』の主題歌に起用される。さらには映画監督の中島哲也の目にも止まり、2014年公開の映画『渇き。』では「Fog」が挿入歌に抜擢される。同2014年、庵野秀明率いるスタジオカラーによる短編映像シリーズ「日本アニメ(ーター)見本市」の第3弾作品『ME!ME!ME!』の音楽をTeddyLoidと共に担当し、世界各国から大きな注目を集める。そして大手レコード会社による争奪戦の末、2015年3月、高校卒業と同時にトイズファクトリーよりメジャーデビュー。同年10月に発売した1stシングルのアーティスト写真で素顔を公開した。インディーズ時代はdaoko名義、読み仮名には平仮名表記の「だをこ」を使用している。
Instagramなどでもファッションアイコンとして確立しつつあるDAOKO。女子高生ラッパーとして有名になった当時、「高生」という肩書が取れたときに、DAOKO本来の魅力や実力で、音楽界にどのようにして残っていくか気になったときもあった。今も昔も、「若さ」というのはそれだけでとてつもないエネルギーを持っていて、見るものにも大変な魅力を与えるものだと思う。私も「若い」という年齢ではなくなってきたときに、では何が私の魅力なのか?いままでに何をやってきて何が残ったのか?少し考えてみたくなる音楽だった。